『別冊關學文藝』第64号掲載、一藁英一「銀色の遠景 萩子」が
大阪文学学校の「第34回 小説同人誌評」(評者:細見和之)に
取り上げられました。
2020年に、詩集「ほとぼりが冷めるまで」(澪標)で第58回歴程賞受賞。
https://www.osaka-bungaku.or.jp/ (大阪文学学校HP)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『別冊關學文藝』第64号では一藁英一「銀色の遠景 萩子」を味わ
い深く読んだ。
五七歳の「私」は「萩子」というすこし年下の女性と有馬温泉に向か
って電車に揺られている。「私」は萩子が働いているクリーニング店で
彼女と出会った。預けたスーツに映画のチケットの半券が残っていて、
そこからときおり彼女と映画を話題にすることになり、二カ月後には好
きな映画へ一緒に出かけ、食事も行う仲になる。 お互いに離婚歴があ
り、いまはともにひとり身。そこで「私」は思いきって温泉旅行を彼女
に持ちかけたのである。乳癌の手術も受けたという彼女はとりあえず同
意してくれたのだが・・。
その恋の顛末を描くことで、初老の男女の心の機微が、古風と呼べる
ほどに端正な文章で、丁寧に、また淡々と記述されている。
(細見和之)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・