関西学院創立百周年(1989年平成元年)に、關學文藝部OBにより『關學文藝 100周年記念特別号』が発行されました。これを契機として、翌年『別冊 關學文藝』が誕生。以後年2回の発行を続け、関学文藝部OB以外の同人・会員も加わり、現在(令和5年11月10日)第67号を発行。 編集:浅田厚美 発行者=伊奈忠彦(同人代表)

2017年11月7日火曜日

別冊關學文藝 第五十五号








































2017年平成29年11月1日発行

編集人    浅田厚美   発行人 松村信人
発行所 「別冊關學文藝」事務局(澪標 内)
表紙(石阪春生)    カット(柴田 健) 
 
 
創作  
おきまどはせる白菊の  (浅田厚美)
女嫌い(第一回)    (美馬 翔)
 
          
追悼  多治川二郎さん

多治川先輩を悼む     (和田浩明)
偲             (塩谷成子)
人は思うまま生きればよい 
  行き先は釈尊ブッダがきめてくれる(飯塚修造)
多治川さんの長逝を悼む      (神野一慶)
 
多治川二郎 略年譜&作品一覧
 
 
 
ブログ「文学逍遥 伊奈文庫」再録(抄)
       (第15回)        伊奈遊子(ゆうし)
 
  

南都夕景色 ー琥珀の中の森青蛙ー (山添孤鹿) 
面屋                (中嶋康雄) 
拍手                                                (中嶋康雄) 


エッセイ
映画俳優の死          (名村峻)
横綱とのさゝやかな思い出    (和田浩明)
『知と感性の対話』顛末記 ー出版を志したころ(松村信人)
新・街談録                        (森岡久元)
 
 
文芸トピックス
  
編集後記  浅田厚美  松村信人
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 神戸新聞朝刊

2017年平成29年12月30日土曜日掲載

同人誌評 野元 正・作家)

浅田厚美 『おきまどはせる白菊の』 評

 何かに思いを仮託して人生を生きる。同人誌の世界は、
限りなく読者を夢中にさせる。
 「別冊關學文藝55 (大阪市中央区内平野町2の3
の11の202 澪標内)」。 浅田厚美「おきまどは
せる白菊の」。2児を育てるごく普通の主婦である私は、
現実世界から離れて小倉百人一首のカルタの世界に熱中
している。大阪南部の農村出身の私は小学校4年生のと
き、初めて百人一首を知り、百首暗記に夢中になり、「
おはこ」の「得意札」もできた。
 顔見知りばかりの村からの脱出が願望で、結婚し晴れ
て大阪市内に住むことになる。そこは百人一首が盛んな
町。体内の歯車がカチッと動き出し、市内の大会に毎年
出るようになる。
 ある年の奮戦を克明かつリアルに、そしてテンポよく
描写。特に惨敗した相手チームのリーダーは、青いアイ
シャドーパンチパーマ、ヒョウ柄の服を着ていたが、札
取りは鋭さと美しさにあふれ、品があった。なおかつ、
鮮やかラストが印象的!
 一見、平凡な主婦のカルタ熱中物語のようだが、秀歌
だけではないといわれる百人一首の謎と相まってカルタ
に挑む私の気持ちや周辺の人間模様が巧みに描かれてい
る。読者はまるで臨場しているかのような気持にさせら
れる秀作だ。