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『別冊關學文藝』第62号。浅田厚美「天女の夏」。農村地帯の村長の孫である高校生のわたしは、今年の祭りで天女役に選ばれたが、おとなしい性格な上、地味な顔立ちで気乗りしない。村から1時間かけて通う高校には数学教諭の川村が赴任し、「1+1=2にはならない世界がある」と話す。無限の可能性を秘めた数学の世界と、自分の暮らす閉鎖的な環境を比べ、何かをつかめそうでつかめないもどかしさ、揺れ動く高校生の心理をみずみずしく書いた秀作。 (葉山ほずみ・作家)
なお同人誌評には同人誌『文の鳥』掲載の「弟切草(おとぎりそう)」についても触れられていますが、作者の河内隆雨(こうちりゅうう)氏は、長年『別冊關學文藝』の購読会員にもなっていただいています。引用して紹介させていただきます。
河内隆雨の「弟切草」は、祖谷でケガをした大平が平家の隠れ里で過ごした20日間を描く。現代の浦島太郎のような歴史ファンタジー。設定が面白いミステリーとしても引き込まれた。(葉山ほずみ・作家)
※ 河内隆雨氏は、同人誌『あべの文学』に発表された小説「隣人」で、2018年、第12回全国同人雑誌優秀賞を受賞された作家です。
※ また「神戸新聞同人誌評」執筆の葉山ほずみ氏は、同人誌『八月の群れ』68号に掲載された小説「夜を漕ぐ」で2020年第14回神戸エルマール文学賞を受賞された作家です。