関西学院創立百周年(1989年平成元年)に、関学文芸部OBOGにより『關學文藝 100周年記念特別号』が発行されました。これを契機として翌年、関学文芸OB会は『別冊 關學文藝』を創刊。以後OB以外の執筆者にも参加頂き、年2回の発行を続け、2026年5月15日に第72号を発行しました。 編集:浅田厚美 発行者=伊奈忠彦(同人代表)

2017年5月23日火曜日

別冊關學文藝 第五十四号

































2017年平成29年5月10日発行

発行人 松村信人    編集人    浅田厚美   
発行所 「別冊關學文藝」事務局(澪標 内)

表紙(石阪春生)    カット(柴田 健)
 
 
 
創作  
婆娑羅の母     (浅田厚美)
室津のキツネ       (森岡久元) 
雀蜂気分         (美馬 翔)
敗戦の日まで             (和田浩明)
孤老の世界      (江竜喜信)       
        
  
詩
東大寺南大門金剛力士像体門(山添孤鹿) 
ソピー          (松村信人)
うそっぱち        (中嶋康雄) 
不在                                      (中嶋康雄) 
路地                     (中嶋康雄)
水飲み鳥                                     (中嶋康雄) 
枇杷の庭                                     (中嶋康雄) 

 

ブログ「文学逍遥 伊奈文庫」再録(抄)

             (第14回)        伊奈遊子(ゆうし)


エッセイ
わたしの映画偏歴     (名村峻)
トランプタワー      (塩谷成子)
 
 
文芸トピックス
  
編集後記  浅田厚美  松村信人
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(2017年平成29年7月15日号)
「図書新聞」同人誌評(志村有弘)

森岡久元「室津のキツネ」評 

森岡久元の「室津のキツネ」(別冊關學文藝第54号)が面白い。

室津の旅籠のあるじ野本仙山は、人をかつぐ癖があった。江戸から

長崎へ行く大田南畝が仙山の旅籠に宿泊することになり、南畝を尊

敬する仙山は、そのことを喜びながらも、室津のキツネが修験者を

誑かした話をし、修験者から貰った護符を見せ、その匂いを南畝に

かがせるのだが、それは仙山一流の人をかつぐ行動。軽妙な文章、


随所に見せる洒落が巧み
。

これも一つの名人芸というべきか。
 
 

 

神戸新聞

2017年平成29年7月29日土曜日掲載

同人誌評 (野元 正・作家)

美馬翔 『雀蜂気分』 評


共働きの ひろ子は庭でスズメバチの巣を見つける。

駆除費用はこぶし大の巣で3万円という。夫の浩
は、家の問題はいつも人ごと。ひろ子は土、日に
は駆除を、と焦る。
 そんなとき、以前劇団に所属していた際にアパ
ートが同室で一番仲がよかった女性・芳香から公
演案内のはがきが届くが、嫉妬から破り捨てる。
ひろ子にも劇団で脚本家として自立していく夢が
あったが、子育てと劇団活動が両立できずに退団
した。芳香の公演にもたまには行きたいけど夫は
協力的でないと、断るつもりの電話でつい愚痴が
出る。
 スズメバチ駆除はある夜、芳香がバイクでやっ
て来て、要領よく処理した。殺さず山に返しに行
くというので、ひろ子は同行しビジネスホテルに
泊まる。ひろ子は、芳香の男女関係など思い出話
をするうちに、戯れの情事を仕掛けるが拒否され
たことで初めて、自立し生きる方向を見いだした
ような気分になるー。現代社会の女性の生き方に
灯明をともす好編だった。

浅田厚美 『婆娑羅の母』 評

 同誌の浅田厚美「婆娑羅の母」。婆娑羅という
母を演じる「疑似家族」がテーマの作品で印象に
残った。