関西学院創立百周年(1989年平成元年)に、關學文藝部OBにより『關學文藝 100周年記念特別号』が発行されました。これを契機として翌年『別冊 關學文藝』が誕生。以後年2回の発行を続け、関学文藝部OB以外の同人・会員も加わり、現在に至っています。2024年令和6年11月10日に第69号を発行。    編集:浅田厚美 発行者=伊奈忠彦(同人代表)

2016年11月20日日曜日

別冊關學文藝 第五十三号

 

 


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2016年平成28年11月1日発行

編集人   浅田厚美  発行人 松村信人
発行所 「別冊關學文藝」事務局(澪標 内)

表紙(石阪春生) カット(柴田 健)




創作  
フランス刺繍              (浅田厚美)
落下する夕暮               (名村 峻) 
クリーニング・ウォー           (美馬 翔)
英国エリザベス女王の和風晩餐会               (多治川二郎)
真実の友情               (多治川二郎)       
ゴースト                  (石川憲三)
         
  

椋鳥の怨嗟               (山添孤鹿) 
ごみくず                   (中嶋康雄)
シナモンスティック             (中嶋康雄) 
火傷                        (中嶋康雄)
 リュウの行方               (松村信人)

 
ブログ「文学逍遥 伊奈文庫」再録(抄)(第13回)(伊奈遊子(ゆうし)


ノンフィクション
下手の横好き ~老いたる野球少年の思い出   (和田浩明)


エッセイ
五輪眼鏡                    (塩谷成子)
新・街談録                (森岡久元)
 
文芸トピックス
  
編集後記  浅田厚美  松村信
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神戸新聞(2016年11月26日土曜日)掲載

同人誌評

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 現実でも小説でもかけがえのない人との出会いが、その人の人生を
大きく変える。

「別冊關學文藝」53号:浅田厚美「フランス刺繍」。工務店社長の
龍平、千代夫妻が大阪高島屋の「フランス刺繍展」を見たことが
きっかけに、千代は刺繍に興味を持ち、体験教室などを受講。
千代には刺繍の才能があり、〈集中して集中した先に〉何かが
見えるという八木沢先生の見識を信じて龍平は千代を正式に
刺繍教室に入門させる。
 ホテルの講座を卒業した彼女は、18世紀のウイーンの宮廷に
花開いた刺繍「プチ・ポアン」の愛好者が集う芦屋のサロンに通い、
やがて千代の刺繍は一目置かれる。龍平は千代が刺繍に集中
できるように、資材置場の刺繍部屋への改装や高校教師の三男
崇(たかし)の引きこもりの問題の解決などに奔走する。またフラ
ンスの刺繍学校に短期留学する八木沢先生に同行する千代は、
関西空港まで送った龍平に、「お父さんありがとうの言葉を残して
出発。龍平は深い満足感に浸り、パリで刺繍に専念する千代を思
い浮かべ、どんな困難をも乗り切れると思うー。淡い想いを秘めて
生きた女と、無理やり忘れた男の生きざまを巧みに描いた印象に残
る秀作だ。

(野元正・ 作家)