関西学院創立百周年(1989年平成元年)に、關學文藝部OBにより『關學文藝 100周年記念特別号』が発行されました。これを契機として、翌年『別冊 關學文藝』が誕生。以後年2回の発行を続け、関学文藝部OB以外の同人・会員も加わり、現在(令和5年11月10日)第67号を発行。 編集:浅田厚美 発行者=伊奈忠彦(同人代表)

2020年1月2日木曜日

石を訪ねて三千里

 

































著者  :  落山泰彦  
発行所:  澪標
発行日:  2019年令和元年12月10日

( 表表紙  帯の文章 )
 平成の年号、最後の師走を迎えてー前著「石語り
人語り」のあとがきを作者・落山泰彦さんはこう締
めくくった。それから一年たつかたたないうちに姉
妹編としてこの新しい一冊。これはもう流行作家な
みの力技(ちからわざ)といっていいだろう。それ
だけに石に対する愛惜も一段と深みを増した。日本
古代の都があった飛鳥の里から海の向こう百済国の
都があった扶余へ、さらに中国に入って蘇州から雲
貴高原と奔放自在、筆の赴くままとどまるところを
知らない。とはいうものの本人自身は持病の腰痛再
発もあって満創痍だ。それだけに・・・・・生きが
いが気迫に満ちてこれも元気な一冊となった。ぜひ
ぜひこの一冊もお手元に。
             詩人・文芸評論家 倉橋健一

( 裏表紙  帯の文章 )
 観光スポットは通り一辺の見学でも楽しいが、歴史
上の真実や伝説、さらに文化知識などもあれば、もっ
とよい旅ができるようになった。その一つに大昔より
ある石を訪ねるのも面白いと、ある時気づいた。古い
不死身の石を見ることによって、その国その地方の歴
史がよみとれるからだ。
 前著『石語り人語り』は大勢の読者にあたたかく見
守られて、全国あちこちへと一人歩きをして行った。
姉妹篇となる本書は二番煎じにならないように、新し
い視点に立って石を見つめた旅物語にしたいと思った。
                          落合泰彦

2020年令和2年3月26日(木)
神戸新聞に氏の著書が紹介されました。
































石伝説求め25カ国 物語に

2冊刊行 独自のユーモア交え



 神河町出身の俳人、エッセイスト落山泰彦さん(81)
=芦屋市=が、「石}をテーマにした作品集「石を訪ね
て三千里」を出版した。一昨年に刊行した「石語り人語
り」の姉妹編。古里播磨から始まった石を巡る旅は、韓
国や中国、エジプトにまで及び、独自のユーモアをたた
えた語り物に仕上がっている。               (平山正子)

 落山さんは福崎高校、関西学院大学卒。帝国電機製
作所(たつの市)を62歳で退職後、文筆活動を本格
化させた。詩人で文芸評論家の倉橋健一さんに学び、
俳句やエッセーのほか、童話、紀行文、短編小説など
を幅広く執筆してきた。
 
 石に関心を持ち始めたのは小学生の頃。近くの猪篠
川で毎日のように遊び、「石と共に育ってきた」と振
り返る。文筆生活に入り、多岐にわたる創作を5冊に
まとめた後、テーマを一つに絞ろうと考えた時に、石
への愛着がよみがえってきたという。
 
 「石がたりー」は、姫路に伝わる石の雨を降らせる
キツネの伝説や、民族学者柳田国男も採話「長崎の魚
石」などを基に、独自の物語に再構成して収録。中国
の雲が湧く石や韓国・済州島の龍頭石、エジプトのロ
ゼッタストーンにまつわる話もある。
 
 続く「石を訪ねてー」は、前著で書ききれなかった
中国や韓国への旅を中心にまとめた。さらに奈良県明
日香村の石舞台や高松塚を踏査したり、縄文人や弥生
人と石の関わりを掘り下げたりして、考古学的な見地
からも石について考察。巻末には幻想小説「石になっ
た男」も収めた。
  
 落山さんは「旅が好きで25カ国ほど訪ねたが、至
るところで印象深い石との出会いがあった。石は時代
を超えて生き続け、民話や伝説に語られた石が今に残
っている。興味は尽きない」と話す。

いずれも澪標刊。
「石語りー」は        2200円。
「石を訪ねてー」は2420円。