関西学院創立百周年(1989年平成元年)に、關學文藝部OBにより『關學文藝 100周年記念特別号』が発行されました。これを契機として、翌年『別冊 關學文藝』が誕生。以後年2回の発行を続け、関学文藝部OB以外の同人・会員も加わり、現在(令和5年11月10日)第67号を発行。 編集:浅田厚美 発行者=伊奈忠彦(同人代表)

2022年10月13日木曜日

『別冊關學文藝』第64号掲載の         浅田厚美「メリーゴーランド」が            『三田文学』No.151秋季号同人雑誌評に          取り上げられました。

 

























浅田厚美「メリーゴーランド」(『別冊關學文藝』第六十四号)

は父の死後、姉から相続など一切を任された主人公が苦労しながら

手続きを行う話です。かつては母にも姉にも似ていなかった主人公

が、年を追うごとに不健康な母に似ていく一方で、母に似ていた姉

が健康的にスリムになっていきます。容易に解決しがたい心のわだ

かまりが、主人公のやっかいな便秘と絡めて巧みに表現されます。

閉園してしまった遊園地のメリーゴーランドに特別に乗せてもらう

最後の場面は象徴的です。ままならない自身の体に戸惑いつつ、折

り合いをつけて生きてゆかねばならない人間の営みが淡々と語られ

る様子に引きこまれました。


2022年10月12日水曜日

『別冊關學文藝』第64号掲載の         浅田厚美「メリーゴーランド」が            神戸新聞同人誌評に取り上げられました。

 神戸新聞朝刊 同人誌評

   2022年令和4年9月24日(土)朝刊。




 


  物語は心の澱(おり)をどこまで描くことができるのだろう。

「別冊關學文藝」64号 浅田厚美「メリーゴーランド」。

 入院していた父が亡くなり、波留は姉志穂美と葬儀の手配を

する。10年前に死んだぽっちゃり体型の母と似ていた志穂美

は、いつのまにか捨てたように贅肉(ぜいにく)が消え、

身軽で自由に見えた。一方、波留は家族の誰とも似ておらず、

そのせいで自分はこの家の子どもなのだろうか、と疑問を持ち

続けてきたが、皮肉にも今では太っていた母に似ているのは

波留自身。

 生前、母も便秘に苦しんでいたと志穂美から聞き、波留は体

内を健康に保とうと努力するが、幼い頃から母や姉に否定され

続けてきたせいで、自分は健全な体に相応(ふさわ)しい存在

だろうか、と悩みもする。体内に溜(た)まった毒素はまるで

母親が波留に吐き続けた言葉の毒にも思えるのだった。

 家族の一員だと確信できる思い出の一つでもあれば波留の現

在は違っていたのだろうか。消えゆく家族への鎮魂のような

品だった。           (作家・葉山ほづみ)









同人:松本篤弘氏講演「世界の不思議ものがたり」

    9月30日(金)

『別冊關學文藝』同人 松本篤弘氏

「世界の不思議ものがたり」
 と題して講演されました。


  会場:北陵公民館
    (川西市役所北陵行政センター併設)
    (川西市丸山台1-5-2)