関西学院創立百周年(1989年平成元年)に、關學文藝部OBにより『關學文藝 100周年記念特別号』が発行されました。これを契機として、翌年『別冊 關學文藝』が誕生、文藝部OB以外の同人・会員も加わり現在に到っています。※発行所=「別冊關學文藝」事務局・第41号より澪標内            入力=伊奈忠彦 『別冊關學文藝』代表

2012年4月27日金曜日

黒潮の歌















2012年平成24年5月発行
発行所:編集工房ノア

著者:「別冊 關學文藝」同人 

【収録作品初出誌】
流された日々   『別冊關學文藝』36号 
                                                    2008年5月
蚤と虱      『別冊關學文藝』26号 
                                                    2003年4月
雪のふるまち   『別冊關學文藝』34号 
                                                    2007年5月
紋白蝶         『別冊關學文藝』40号 
                                                    2010年6月
黒潮の歌        『別冊關學文藝』43号 
                                                2011年11月


【 奥付に記された 著者略暦】
一九三五年神戸生まれ。関西学院大学商学部卒。
高校、大学時代ともに文芸部に所属。
一九九〇年NHKを退職後、
大阪芸術大学教授二〇〇八年退職
「別冊關學文藝」同人。

ラジオドラマの演出で芸術祭優秀賞、東京ラジオ
テレビ記者会賞(各2回)受賞。
著書
『蛍のように』
『夢のかけら』
『旅のはじまり』
『球乱』
『夜離れ』(以上編集工房ノア刊)
「球乱」で第三回神戸ナビール文学賞を受賞。



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     和田浩明著『黒潮の歌』表紙の帯コメント

   空襲で母と妹を亡くした追憶

 国民学校同級生への62年前の贖罪

 兄とも慕う従兄との雪の日の出来事。

 放送劇「黒潮の歌」の命の光。追悼歌


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著者あとがき
 
  六十一年前、まだ坊主頭だった高校一年の時、文芸部に入り
ました。はじめは短歌や詩らしきものを作っていましたが、同じ
学年で親友でもあった松井寿男君と語り合い、一年生の夏休みか
ら小説に挑戦しました。書き上げると交換し、互いに批評し合う
のが何よりの楽しみになりました。以来、大学の文芸部員として
卒業するまでの七年間、稚拙な作品を機関誌に発表し続けました。
 
 その後、放送の世界に入ってから、主にドラマの仕事でしたが、
文章といえば企画書が中心で、多くの作家の方に少しでもいい脚
本を書いて頂くのが、使命でした。ところが一九八九年、母校が
創立百周年を迎えことになり、かつて文芸部に在籍した卒業生
と現役で『關學文藝・百周年記念号』を出版しようということに
なりました。ほとんどの人たちは長いブランクがあったにも関わ
らず、予想外にレベルの高い作品が集まり評価をうけました。

 それがきっかけで、先輩の多治川二郎さん、海部洋三さんがリー
ダーとなって、翌年から『別冊關學文藝』を卒業生で出すことに
なったのです。以来、今日まで二十二年間、年に二回発行し続け、
間もなく四十四号を迎えます・。中心は昭和三十年代に、狭く汚
い部室に入り浸っていた世代ですが、この二十二年間に多くの
輩、仲間たちがこの世を去りました。

 わたしは夢を絶たれたこうした仲間たちのためにと願い、拙い
作品を書き続けています。読み返すほどに身の細る思いですが、
その中から五篇を選び一冊にまとめることにしました。五十代半
ばになって三十数年の空白を埋める作業は並大抵のことではあり
ません。しかし多くの方たちの励ましや、身に余るお誉めの言葉
によって支えられてきました。

 昨年秋、高校時代の同級生から消息不明だった松井寿男君が『
寺山修司の牧羊神時代』という本を朝日新聞社から上梓されたこ
を知らされました。若い頃の寺山修司の知られざる素顔を俳句
仲間として描いたもので、著者名は松井牧歌(俳号)となってい
ました。高校時代から松井の俳句における才能は抜群で、就職
のため上京した後も俳人、榎本冬一郎氏に師事し、やがて、俳誌
を主宰し立派な句集も出していたことを知りました。

 しかしお祝いを述べることは叶いませんでした。彼は五年前急
逝していたのです。わたしには大きな衝撃でした。しかしわたし
は、このことがきっかけとなって松井君はじめ亡くなった多くの
友人たちの霊に捧げたい一心でこの度出版することを決意しまし
た。

 最後になりましたが、学生時代からお世話になり、今回もすば
らしい表紙を描いて下さった大先輩の石阪春生画伯に深く感謝致
します。またいろいろと助言頂いた涸沢純平さん、また多くの雑
誌仲間の人たち、至らぬわたしを今まで支えてくれた妻にも心か
らお礼申し上げます。
 
              二〇一二三月一二日  和田浩明