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2013年平成25年11月7日発行
編集人 浅田厚美 発行人 松村信人
発行所 「別冊關學文藝」事務局(澪標 内)
表紙(石阪春生) カット(柴田 健)
創作
書評
思考する読書(VOL.7)(今西富幸)
詩
薬師寺 鬼追式(山添孤鹿)
回帰(松村信人)
ブログ
「文学逍遥 伊奈文庫」再録(抄)(第7回)(伊奈遊子(ゆうし))
エッセイ
仰ぎみた大作家たち(和田浩明)
入院アラカルト(竹内のぞみ)
追悼
下記の添付ファイルは、
ブログ『柳葉魚庵だより』より。
『別冊關學文藝』第四十七号について紹介していただきました。
伊奈さんの「ブログ文学逍遥 伊奈文庫 採録(抄)」は、今回、村上春樹の最新作「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」を取り上げています。
伊奈さんの読書メモで感心するのは、決して急ぐことなく、実に丹念に読み込んでいることです。そして、作品からの引用も大切なところを実にコンパクトにしていただいているので、作品を読む前からもうすでに読んだようなお得感に浸れるのと、読んでみたいという期待感を抱かせるのが素晴しいバランスだと思いました。
伊奈さんも書いていますが、村上春樹の小説はどこか翻訳小説的な感じがあり、宮本輝の「泥の河」、向田邦子の「父の詫び状」など、今は純日本的な味の小説が好きな私などは、どこか肌が合わないところがあるのですが、伊奈さんの書評を読むと、ひょっとしたら食わず嫌いなのかもしれないと思います。
これも、伊奈さんが書いていますが、翻訳小説的と言えば、学生時代に夢中で読んだ大江健三郎の小説があります。文体にどこか読みにくさを感じながら、それまでの日本の小説にない新鮮さを感じ、当時、特に若い読者から大変な支持を集めていました。読書の好みもやはり、年を重ねると変わるのでしょうか・・。
「別冊 關學文藝第四十七号」には、名村峻氏の小説「その後の人」も収められています。「その後」とは阪神・淡路大震災のこと。主人公のように、被災地で震災を経験した人は、みなそれぞれに、他人には分かりようのない「その後」を生きているのだ
ろうと、重い気持ちになる小説です。
それを象徴するように、主人公が六甲山中で偶然見つけた捨てられた小型カメラの中に収められていた1995年1月17日早朝の「あの時」の写真とその後のスナップ写真。そこから、主人公は映画のモノローグのように、写真の中の「その人」の声を聞き、「その人」のその後の人生を幻想していく・・。捨てられた他人の写真を通して、他人の人生を覗き見るという後ろめたさが、震災の残酷さを浮き彫りにしているような気がします・・。
その他、創作、書評、詩、エッセイと本号も様々な味を味わえる「別冊 關學文藝第四十七号」です。
虎落笛聞こえる先も虎落笛
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